蟲師

お名前を入力して下さい。結果表示に使われます。

好きなお名前をどうぞ。結果の点数は何も意味はありません。

翌朝、私が目を覚ますとギンコはもう起きていた。
ギンコ『お、起きたか』
●●『おはよう・・・』

まだ残る眠気を引きずりながら挨拶をする。

ギンコ『どうだ、決心はついたか？』
●●『うん、ここに居ても状況は変わらない。一緒に行く』
ギンコ『決まりだな』

ギンコは満足そうにニヤっと笑った。

●●『・・・何だか嬉しそうだな』
ギンコ『気のせいだろ』
荷物をまとめ終えると

ギンコ『行くぞ、えーと・・・名を聞いてなかったか』

●●『●●だ』
ギンコ『●●、ついて来い』
●●『うん』

しばらく森の中を進んだ後、ギンコが口を開く。

ギンコ『この先に里がある、最初の仕事だ』
●●『仕事？』
ギンコ『その里の者からの文でな』

そう言うと一通の手紙を見せる。

【蟲師様へ
突然の文失礼致します。泉の里の者で菊と申します。
私の息子の事で相談したい事がございます。】

●●『ギンコ宛てという事は・・・蟲の事か？』

ギンコ『話を聞いてみない事にはまだわからんが』
ギンコ『菊は何か勘づいているのかもな』
●●『私も手伝えることがあれば言ってくれ』

ギンコ『ああ、頼む』

森を抜け更に林道を抜けたのち、例の里へ着いた。
●●『・・・大きな泉がある綺麗』
ギンコ『さすが泉の里と呼ばれるだけあるな』

すると下から声がした。

女『あの、貴方が蟲師の？』
ギンコ『ああ、あんたが依頼主か？』
菊『はい、文を書かせて頂いた菊です』

この人にも私の姿が見えていないようだ。

菊『家へご案内します、どうぞ』
私たちは菊の家へ行き、話を聞いた。
菊『私の息子、湊(みなと)はある日を境におかしな行動を・・・』

ギンコ『どんな行動だ』

菊『泉の水面に写る月と会話するようになったのです』
ギンコ『・・・何かきっかけはあるのか』
菊『あの子の、恋人の千代が亡くなってから・・・』

【幻影酔】

菊『千代は生まれつき珍しい水を拒む体質で』
菊『千代のご両親もきつく水には入らぬよう言いつけていたのですが・・・』
菊『何を思ったのか千代は泉へ飛び込んでしまったのです』

菊『その場に湊も居たのです』

菊『千代の最後の言葉は「認めてもらえる」』
ギンコ『認めてもらえる？』
菊『はい、湊は確かにそう言ったと』

菊『私もあの子も何一つ理由がわからないのです』

菊『何故水に飛び込んだのか、その言葉を残したのか』
ギンコ『・・・千代の両親には会えるか』
菊『ええ、お話を聞きに行くのですか』

ギンコ『何かまずい事でも？』

菊『いえ、ただ・・・』
その時、戸が勢いよく開いた。
そこには青年が立っていた。

菊『み、湊・・・』

湊『母さん、ただいまお客さん？』
恋人を亡くしたとは思えないほど明るく笑う。
菊『ええ、旅人さんなの』

湊『こんにちは』

●●『え・・・』
ギンコ『！』
驚いた事に私にも挨拶をしてきた。

●●『ギンコ、この子見えてる』

ギンコ『・・・こんにちは』
湊『母さん、今日は月が一番綺麗な日みたいだよ』
そう告げると湊はどこかへ消えていった。

菊『・・・たまにあるんです、そこに人でも居るかのように振る舞う事が』

ギンコ『息子さんは蟲が見えているのは確かだ』
菊『やはり・・・』
ギンコ『気に病む事じゃない、解決策が無い訳ではないからな』

菊『湊を・・・あの子をよろしくお願いします』

菊はギンコに深々と頭を下げた。
ギンコ『手は尽くす』
【続く】